【解説】小説の情景描写のコツは? | 結論:五感+具体性+動作を描く

小説の情景描写は難題の1つ / 答えはない
小説において『情景描写の度合い』は作家の方によって異なります。
手腕(技量)によっても異なりますし。
ソレを個性と表現することもできるでしょう。
万人に共通する絶対的な答えは存在しません。
コレは読者の方の側に立っても同じことが言えるでしょう。
サラッと書いてくれれば脳内で補完するから簡単で良い。
綿密に書いてくれないと情景が脳内に固められないので困る。
本当に多種多様です。
「では、自分勝手に(作者本意に)情景描写を描けば良いのか??」
そういう訳にも行かないですよね。
情景描写は読者の方を物語へ引き込む為の必須項目の1つなのです。
キャラクターの心情や状況を深く理解させる。
こういった役目も担っています。
実際にどう描いていくべきなのか??
僕の見解(例文)も交えつつ解説していこうと思います。
では、本編へどうぞーっ。
五感を描く / 世界に色を付ける
情景描写は読者の方が「空想の世界(物語)」をより現実味のあるものとして味わう為の要素です。
言い換えれば、
作品の中にリアリティを持たせる為の要素
こういうことになりますよね。
なので、

この記事の中でも僕が語っているように人間が持つ五感をしっかり文章中に描くのです。
五感と言うと、
- 視覚(見た目)
- 聴覚(音)
- 触覚(柔らかい? 硬い?)
- 味覚(甘い? 辛い?)
- 嗅覚(香り)
この5つの感覚を指す言葉ですね。
我々人間がリアルを実感する上で絶対に使っている要素のすべてですよ。
以下のような文章が実際の例になりますね。
【例文】
母が作ってくれた朝食はシンプルながらとても美味しそうだった。
あつあつのご飯に香ばしい色の焼き魚――とても食欲がそそられる。
目玉焼きも形が崩れておらず母の料理技術の高さがうかがえる。
正に『お袋の味』と表現すべきものだろう。
「うん。美味しい」
焼き魚を口に運び、鼻に抜ける焼いた香りに満足する。
僕の言葉に母も満足したようで、優しい笑みを僕に向けて浮かべている。
今日もいつもと変わらない――とても穏やかな朝だった。
本文の中では主に食事ということで視覚・味覚・嗅覚を活かして情景を描いています。
コレはあくまでも1例に過ぎません。
ですが、
文章を描く時は五感を意識して書いてみよう!!
こうした意識を持つだけでも物語に立体感が生まれてくることでしょう。
参考にしてみて下さいね。
具体的な姿を描く / さじ加減が重要になる
物事を具体的に書くという手法も効果的でしょう。
要するに抽象的に(ぼんやりと)描くのを避けて形在るものとして描くということ。
こうすることで情景描写では有利に働く場面も多いかと思います。
ただし、
さじ加減を間違えると蛇足と化す
という大きな危険も持ち合わせている点に注意です。
物事の抽象的な表現を避けるということは総じて文章量が増えるということでもあります。
コレは明確なデメリットとメリットの両面を持ち合わせていますね。
メリットは文章量が増えることで読者が実像を理解しやすい点と原稿の水増しができるということ。
デメリットは文章量が増えることで本筋の前に読書を放棄されてしまうということ。
ぐだぐだと補足的な文章が並んでいても読書の意欲は湧きませんよね。
なのでバランスが重要だという訳です。
例を挙げると、
① 美しい庭 / 簡潔な表現法
② 色とりどりの花が咲き乱れる、薔薇の甘い香りが漂う庭 / 装飾多めの表現法
同じ「庭」という場の表現でもコレだけ文章量が違います。
どっちが読みやすいか――ソレは受け手や書き手次第と言ったところでしょう。
実際にご自分の手で執筆をしながら取捨選択をしてみて下さいね。
動きを描く / 静止画を避ける
文章のリアリティを描く上で「動き」を描くという点は非常に効果的です。
特に執筆の初心者の方に多い傾向として、
事実の描写のみに終始してしまう
こういったケースがありますね。
誤りではないのですが事実のみをドンッと置いても単なる状況の説明に過ぎません。
もっと大事なのは、
過程と結果を動的に描くこと
ココに重きを置くと良いでしょう。
具体的な(極端な)例として、
△ 草原が広がっている。木々が立っている。空は青い。太陽が輝いている。鳥が飛んでいる。鹿がいる。夜になって星が出た。
○ 草原の上を風が吹き抜け、草花が左右に揺れる。鳥たちは空を舞いながら囀り、遠くには鹿が静かに草を食んでいる。陽が沈むにつれ、空が茜色に染まり、夜の静寂が訪れる。星々が次々と姿を現し、夜空は一変して輝き始めた。
同じ事実を描いても文章量も内容も充実感もソレだけ違うという訳です。
一応は好例として提示しているものの個人的には「ちょっと装飾過多(情報量が多すぎ)」とも思っていますけれどね。
1つの例の対比として参考にしてみて下さい。
目指す理想としては「状況に応じて必要な文章量を選択できる」という領域でしょうか。
こうした地点を目指して努力をしてみて下さいな。

まとめ
いかがでしょうか?
今回は「小説の情景描写のコツは?」というテーマで記事を書いてみました。
他にも情景描写に必要な要素は色々ありつつも、
① 五感 / 用法に注意
② 具体的な描写 / 用量に注意
③ 動作を描く
こうした3つの部分を守るだけでも文章のクオリティは十分に上がることでしょう。
少なくとも「素人感」は打ち消せると思いますよ。
ご自分の執筆の中で参考にできそうな部分は是非取り入れてみて下さいね。
ご精読ありがとうございましたっ。
ではではー!!