【解説】小説の書き方#4 ~ 執筆実践編 / 推敲 ~ | 初心者向けに「書ける!」を目指します
推敲は作品の完成度を高める作業
推敲とは文章を整えて書き直す作業のことです。
この作業は小説を書く上で絶対に避けて通れないと言えるでしょう。
僕は芸術に聡い訳ではありませんが――彫刻に例えると分かりやすいかも知れません。
・粗彫りの作業でまず大筋を整えて1個の作品の原型を作り上げる
・小彫りで彫刻を浮き上がらせるため各部に手を加える
・仕上げ彫りでより緻密に細部に手を入れて完成形を作り上げる
粗彫りが初稿だとすれば小彫りと仕上げ彫りが推敲と言えるでしょう。
イメージできるでしょうか?
この大切な作業をしなかった場合には完成度に大きな差が生まれます。
作品の完成度を高めるためには必須の作業と言えるでしょう。
ちなみに改稿とは原稿を書き直すこと――だそうです。
どっちも似たような言葉ですが一応僕の中で
・推敲は文章に手を加えて整える作業のこと
・改稿は文章を大幅に書き直して作り直しも視野に入れる作業のこと
という解釈が存在します。
要は作業の比重の問題かな~っと。
名前が違うだけで「作品を高める」という意味では同じライン上の言葉でしょう。
いずれにせよ推敲も改稿も作品を整えるために必要な手順です。
是非実践して頂けたらと思いますよ。
第三者の視点で物語を整える
推敲の作業でとても重要なことは
物語を第三者の視点で見られるかどうか?
ですね。
初稿を主観で描いた作者の物語だとするなら推敲後の原稿は読者の視点の物語です。
いち読者の視点に立った上で――
・物語に矛盾や破綻はないか?
・読者が知り得ない状況が当然のように横行していないか?
・視点や情報にブレはないか?
・キャラクターの姿をきちんと想像できているか?
・世界観に乱れはないか?
など読者が読みながら「おかしい」と思う部分は極力直していきたいところ。
伏線を張った上での裏工作だったり仕掛けだったりは全然問題ありません。
問題なのは「唐突に物語が右へ左へと転がる」という状況ですね。
読者の方に「ご都合主義だ」とご指摘されてしまう恐れがあります。
(ご都合主義でも面白いという作品がたくさんあるので一概には言えませんね)
ただ、気をつけなければならないことは――
つまらないリアリティなら面白いフィクションの方が断然に良い
ということ。
ご都合主義や設定の細部にこだわり過ぎるあまりに面白さを失ってしまう。
こうならないように注意が必要ですね。
なにを隠そう僕自身がそうなので自分にいつも言い聞かせています。
初稿完成から少し時間を置くのも良い
どうしても第三者の視点に立つのが難しい――。
そういった場合には「一旦初稿を書き終えたら時間を置いてみる」という手段も有効です。
自主的に客観性を持てないのであれば物理的に客観性を生み出せば良い。
そうした思考の上で成り立つ手法ですね。
ただし、この方法には明確すぎる注意点があります。
時間を置くことで作品に対する熱意が冷めないようにすること
これは本当に注意です。
#3の記事で記載した「勢いで書きましょう」という部分に通じるところ。
作品に対する熱いテンションが時間を置くことで失われてしまう可能性がある。
これに尽きます。
事実として僕はそれが原因で初稿のまま止まっている作品がいくつかあります。
推敲すれば1本の作品として公募などに出せるでしょう。
ですがその作品に対して熱意が向かない――勢いを忘れてしまっている状況なのです。
ある意味ではもったいないな~っと自分では思うのですが書き出すタイミングを逃してしまった。
あるいは「いつか書き出すだろうし別に良いか」という気持ちになってしまっている。
完成させなければ成果もなにもないですからね。
皆さんもご注意下さい。
100点満点は目指さない
初稿と同様にこの段階でも100点満点は目指しません。
今回は特に「100点を目指してはいけない!」という言葉を使うことにします。
なぜか?
推敲(改稿)が永遠に終わらないから
ですね。
どの作業でも100点満点は難しいというのが僕の考え。
その中でも、特に達成が困難だと思っている作業こそが推敲(改稿)なのです。
推敲は細かい作業の繰り返しです。
始めようと思えばいつでも簡単に始められます。
終わろうと思えばその瞬間に終わりですよね。
言い換えれば突き詰めれば突き詰めるほどに永遠と問題点が浮かび上がる――終わりのない作業と言えます。
ここで100点満点を目指した場合――特に初心者の方々には「筆を折る」という現実が向かってくる可能性すらあり得ます。
というか普通に起こります。
何処まで突き詰めても答えがないからです。
貴方が100点満点という合格点をこの場に用意したとします。
多くの場合にその合格点には到達できません。
終わりの見えない永遠とも言える作業の中で無力感に苛まれる――。
そうして最後には創作を放棄する。
こんな悲しいことはありません。
何点を目指して創作を進めるべきか?
僕が思う目指すべき点数は「85点~90点」くらいだと思っています。
ただし妥協とは明確に異なります。
・面白さにとって欠かせない部分に大きなリソースを割く
・面白さとは遠い部分には注ぐ力を少し減らす
全体的なバランスをとって「85点~90点」に辿り着く――これが理想だと思います。
バトルシーンが魅力だ! という作品ならそこは絶対に妥協すべきではない。
敵役の脇役のキャラクターの言葉遣いの完璧さ――徹底的に煮詰める意味は薄いでしょう。
自分が作品の何処に力を注ぐべきなのか?
よく考えて限りある時間を有効にお使い下さいね。
まとめ
いかがでしょうか?
今回は小説を書く手順――その執筆最終段階とも言える推敲(改稿)について自分の意見を述べてみました。
この記事で僕が語った内容はいずれも僕自身が苦労をしたり苦しんだりした部分についてのお話です。
まずは1作品目を完成させる。
このことを念頭に弊害となる部分には注意をする。
明確な答えがないという大きすぎる沼にはまらないように――気をつけて下さいね。
この作業を終えたら「決定稿」と言って良いでしょう。
後はその書いた原稿をどうするのか?
次回の記事ではそれについて僕の意見を述べようかなと思います。
本記事もご精読ありがとうございました。
それでは~!!
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