【解説】一人称視点の小説の書き方 | 個人から見た世界を描く
一人称視点は小説の基礎の1つ
ライトノベル(Web小説系)の小説を書く上で、
・一人称視点(個人の視点か)
・三人称一元視点(神の視点か)
このどちらかを選ぶケースが多いと思います。
(二人称視点や三人称視点は扱いどころが難しい印象ですので)
視点を固定化して執筆するのがおすすめです。
そうした中で、
一人称視点をまずは書いてみよう!!
という方は少なくないと思います。
【解説】三人称一元視点は難しい? | サクッと画像付きで丁寧にご紹介します
個人的には「三人称視点から入った方が破綻が少ない」という印象ですが――。
しかし、一人称を書いてみたい気持ちも僕にはよく分かります。
(実は初めて書いた小説も一人称視点で描いたものですので)
そんな訳で、
一人称視点をサクッと分かりやすく解説をしてみよう!!
というテーマで記事を書いて行こうと思います。
是非、技術の知識の1つとして参考にしてみて下さいね。
では、本編へどうぞ~っ。
一人称視点の見え方 / 画像付きで解説
一人称視点とはその名の通り、
個人の実際の視点から見える世界を描いていく
という特徴があります。
僕が実際に自分の部屋をザッと見渡して、
僕はサッと部屋を見渡す。するとそこには3本のエレキベースが並んでいた。とてもカッコイイな。そんな心の声を浮かべつつエレキベースを眺めている。
こんな感じで「実際の僕が見た光景」をそのまま描くのも一人称視点の1つですよね。
分かりやすく画像で示すとこんな感じになります。
濃い青の丸(中心 / 個人《主人公等》)から見える視点のみを物語の中で描いていく。
コレが一人称視点の基本原則です。
この濃い青丸の視点からしか物語を語れないという点がメリット&デメリットですね。
なので、物語の中で使われる語り方は「僕は(私は / 俺は)」という当人中心ということになります。
なお、この視点は章や物語の区切り毎に移動することも可能です。
(読者の方を混乱させない程度に上手く調整して使用することをおすすめしますよ)
一人称視点はその特性上、
・当事者の立場になって物語を進めていく
・個人の実視点でストーリーが展開するので読者の感情移入を誘いやすい
・個人の見えない部分や知らない部分を描くのが難しい
という傾向があります。
主人公が「ハロルド」
ヒロインが「マーシャ」
この条件で主人公(ハロルド)の視点で文章を作ってみましょうか。
【例文 / 一人称視点】
僕は城を出てふと空を見上げる。
隣のマーシャもつられるように一緒に空を見上げていた。
「どうしたの?」
マーシャが僕に問いかける。
「いや、別に、なんでもないよ」
澄み渡る空、そこに、変哲はない。
しかし、戦い続けてきた僕にとっては、ソレがとても重い意味を持つ大切な空であった。
平和な新しい世界の始まり。
ソレを噛み締めるように、過去を振り切るようにして、僕は歩みを進める。
こんな感じでハロルドから見た主観的な世界を描いていく。
この手法が一人称視点です。
ちなみに、三人称一元視点ver.だとこうなります。
【例文 / 三人称一元視点】
ハロルドは城を出てふと空を見上げる。
隣のマーシャもつられるように一緒に空を見上げていた。
「どうしたの?」
マーシャがハロルドに問いかける。
「いや、別に、なんでもないよ」
澄み渡る空、そこに、変哲はない。
しかし、戦い続けてきたハロルドにとっては、ソレがとても重い意味を持つ大切な空であった。
平和な新しい世界の始まり。
ソレを噛み締めるように、過去を振り切るようにして、ハロルドは歩みを進めるのだった。
ぶっちゃけこの例文だと「僕」を「ハロルド」に置き換えるだけでほぼ事足ります。
後は文章の一部から主観的過ぎる部分を取り除けばOKです。
一人称視点の注意すべき点は?
今回の例文で言うところのハロルド(主人公)の視点において、
① 知っていないはずの物事を描いていないか?
② 読心術の如く他者の心を読み取る超能力者になっていないか?
③ ロジックもなくギミック(トリック)の読解や先読みをしていないか?
この点には特に注意をすべきでしょう。
ハロルドを例にすれば、
① 伏線もなく実は戦いがまだ終わっていないことを知っている
② マーシャの心の内側を常に完璧に読み取って行動している
③ ロジックもなくなんとなく歩いた先がラスボスの在処になっている
みたいなミスは(例としては極端ですが)絶対にやってはいけないミスでしょう。
読者は登場人物(視点の人物)に感情移入して本を読み進めていきます。
その人物が唐突に知りもしない突飛な行動を取ると、
えぇ~……??(冷める)
という読者の方の熱量を奪ってしまうことにも繋がりかねません。
一人称視点は基本的にその視点の人物が知り得ない物事は描けません。
行動の伏線を描く際にもハロルドの視点から見える部分にフラグを立てるか。
当人が知り得るようにして作者側が気を配る必要がありますよね。
他者の感情に対する機微の読み取りについてもそうですし。
行動の際にも「その人物にとっての主観的な動機付けがしっかりしているか??」という点は考慮すべきでしょう。
僕もたま~にやるミスですがこの点はご注意下さい。
主人公を察しが良すぎる超能力者にしない(本物のエスパーなら話は別ですが)
ココに気をつけて一人称視点の小説は描くようにしてみて下さいね。
まとめ
いかがでしょうか?
今回は「一人称視点の小説の書き方」というテーマで記事を書いてみました。
当事者の視点から本人に沿って物語を描く。
この前提を忘れなければ描くことは容易と言えましょう。
逆に、
ソレ故に描く幅はいち個人の範疇に留まってしまう
という当然のメリット&デメリットが存在しますよね。
主観的にストーリーを描くので当事者に対する感情移入を誘うのは三人称一元視点よりも圧倒的に得意です。
(葛藤や苦悩、辛さ、恋心を描くには個人的に向いている視点かなとも思います)
最終的に小説を書く上で三人称一元視点も一人称視点も両方を駆使することになります。
作品のスタイルに合わせて適切な視点を選ぶ必要性がありますからね。
今回の作品は相性的に一人称かな~?? / 三人称一元視点かな~??
という感じになると思いますよ。
どっちも使えるように技術としてモノにしておくようにしましょう。
参考にしてみて下さい。
ご精読ありがとうございましたっ。
ではでは~!!