【解説】ショートショートの小説の書き方 | 基礎の解説から作品の実例まで
小説を書く第一歩におすすめです
僕自身も、
短編に挑戦 → (技術不足を痛感) → ショートショートを日々投稿する
という経験を山のように積んでいました。
そうした中で、
小説を完成させるという楽しみを知った
こう考えると今の小説の執筆の礎になっているとも言えますかね。
例えば、
小説を書くのって時間が掛かりそうで大変そうで……
という方も少なくないでしょう。
安心して下さい。
ショートショートなら構想から完成まで1日~3日でOKです。
サクッとご自分の世界観を表現する。
このニーズにはピッタリなスタイルですよ。
ショートショートってなんですか??
ショートショートは掌編小説とも呼ばれる「極めて短い小説」です。
文字数は原稿用紙で5枚から7枚程度。
1200文字から1500文字程度でしょうか。
ソレ以下の文字数でも全然OKです。
大事なのは、
① 世界観(テーマ)
② 必要最小限 / 取捨選択が大事
③ 短い中でも起承転結がしっかりある / オチは大事
④ 人物とアクションは明確に
という点でしょうか。
最初のうちは当然ながらコレを全部こなすのは無理です。
書きながら上達して行けると良いですね。
ただし、
テーマ(世界観)だけは絶対に明確にしておいた方が良いです
テーマは小説を書く上で核となる根源(源泉)だと思っています。
テーマを雑に扱う=作品を雑に扱う
こう解釈をしても問題ないかと。
クセになって作品を投げ出す悪癖にならないようにご注意下さい。
テーマはもっとも重要な宝物ですよ。
基本的な工程を組んでみよう
長編小説を書く際には欠かせない要素がたくさんありますよね。
プロット、キャラクターシート、箱書き、初稿、推敲、改稿、最終稿(決定稿)
ただ、
ショートショートに関しては長編小説ほどガッチリ決めなくて良い
と、僕は思っています。
具体的に言うと、
① どんなテーマを描きたいのか??
② ストーリー / 起承転結(序破急) / オチを決める
③ 登場人物
このくらいの情報量で良いと思いますよ。
本文は初稿→推敲(気に入るまで)で良いでしょう。
(初稿で完璧というケースは稀だと思います)
ここまでの総時間が僕の場合は1日から3日程度という感じでした。
・テーマを考える
・ストーリーを考える
・登場人物を決める
この構想を練るという段階は基本的に並行で作業を行います。
構想を練るのに1時間から1日ほど。
執筆に1時間から1日。
推敲(改稿)の作業に1時間から1日ほど。
合計で平均1日から3日という訳です。
実例を踏まえて解説をしてみよう
ここからは実際の僕の作品を踏まえて解説してみましょうか。
(2019年作の別名義作品で日の目を見るのは実に5年以上ぶりという代物です)
まずはアレコレ言うまでに作品を掲載しちゃいますね。
どうぞ~っ。
『想唄』
大空へ飛び立つように。
僕は両腕を広げた。
苦しい。
狭い。
この世界は悲しいことばかりだ。
僕は僕以外にいない。
僕はどうしたって僕にしかなれない。
逃げられない。
この運命からは。
この人生からは。
「あなたはどこへ行きたいの?」
「分からない」
本当のことだ。
僕は自分がどうしたいのかが分からない。
どこへ行きたい?
なにをしたい?
そんなの。
僕には一つも分からないから。
「ふぅん。なら。死んじゃえばいいのに」
「僕もそう思う」
「死なないの?」
不可思議な少女の真っ直ぐな質問。
僕は答えを返さない。
「死にたくないの?」
「そうじゃない」
「どうして死なないの?」
「分からない」
「そればっかりだね」
つまらなそうに少女は呟く。
仕方がない。
本当に分からないのだから。
「違うよ」
「え?」
「〝分かろうとしてない〟の。だから。あなたは〝分からない〟に逃げちゃうの」
河のほとり。
砂利の道を彼女はゆっくりと歩いていく。
「分からないで片付けるのは簡単だもの。結論を分からないにしてしまえば。関わるすべてを否定できる。いいことも。悪いことも。ぜんぶをね」
「どういう意味?」
「あなたの人生。ここまでの人生。すべてが本当に悲しいことだったのかな?」
「僕はそう思ってる」
「そうかな。わたしは違うと思うけど」
緋色の空を少女は見上げる。
「安心して。あなたの目が覚めた時。世界はもう変わってるから」
「変わらないよ」
「残念。これが決定された事実だから」
「事実?」
「そう。事実。あなたが歩いていくこれからの世界。そこにあるこれからの現実だよ」
にこり。
少女は小さく微笑んだ。
「でもね。その先を紡ぐのはあなただから」
直後。
蒼い河が一気に氾濫をした。
瞬く間に。
僕と少女の身体は水に飲まれていく。
深く。
奥底へ。
勢いよく沈んでいく。
身体の自由が――。
「(……?)」
利く。
動く。
呼吸ができる。
なぜ?
目の前の少女が僕を抱きしめているから。
彼女が僕の口で息をしている。
「〝あなたはわたしの心臓だよ〟」
「〝え?〟」
「〝あなたが生きていれば。わたしもそこで生きているの〟」
「〝どういうこと――〟」
「〝生きて。精一杯に。その最期までを〟」
ふわりと。
彼女は僕の唇から離れていく。
彼女は水底へと向かって沈んでいった。
――待って。
僕は手を伸ばすけれど。
届かない。
反対に僕の身体は水面に向かって引き上げられる。
――やめろ。
まだ。
伝えていないことがある。
『〝分からないのがね。生きるってこと。教えてくれたのはあなただよ〟』
遠くの底から声が聞こえてくる。
届くかは分からない。
ただ。
一言でいい。
『〝 〟』
どうだろう。
ちゃんと届いたかな――……?
冷め切った世界。
暖かさが身体に戻ってくる。
ここはどこ?
僕は誰?
分からない。
いや。
今はもう知っている。
「せっ、先生! 息子が――……!!」
母が大慌てで外へと駆け出していく。
僕の身体には管と呼吸器と色々と。
あぁ。
大変な目に遭ったよ。
けど。
君が支えてくれたんだろ?
君が戻してくれたんだろ?
ありがとう。
そして。
ごめんね。
君が言う通り。
世界は変わっていたよ。
今。
こんなにも多くの人に僕は囲まれている。
一人じゃなかったんだな。
僕は。
〈了〉
いかがでしょう??
5年以上も昔の作品ということで相当に粗が多い作品ですが参考にはなるかと。
僕が本作『想唄』を書き上げる上で重要視していたのは以下の要素です。
・テーマ / 三途の川と心臓の擬人化(死ぬなというメッセージ)
・ストーリー / 謎の空間で対話 (実は)自問自答 死の淵で触れた人の温もり
・登場人物 / 《僕》と謎の少女
思いっきりネタバレですが、まぁ、もう良いでしょう。
やっておいてアレですが作品の核というものは基本的に明言しない方が良いです。
解釈の幅を楽しむ要素を奪ってしまう訳ですからね。
今回はあえて「作品の作り方」というエッセンスを公開するために紹介したまで。
僕は、
・テーマ / 三途の川と心臓の擬人化(死ぬなというメッセージ)
・ストーリー / 謎の空間で対話 (実は)自問自答 死の淵で触れた人の温もり
・登場人物 / 《僕》と謎の少女
この要素を頭の中に掲げてあの作品『想唄』を書き上げました。
必要な情報はコレだけでも十分なのです。
是非、参考にしてみて下さいね。
まとめ
いかがでしょうか?
今回は「ショートショートの書き方」を実例(作品)込みでご紹介してみました。
・文字数は1200文字から1500文字程度を目安に
・ガッチリ決め込む必要はない
・テーマ+ストーリー+登場人物で作品は十分に書ける
文章量が少ないのがショートショートの魅力でもありますからね。
(少ないからこそ技術が求められるという意味ではシビアでもありますよ)
ご自分の熱意を少ない文字数に精一杯にブチ込んでみて下さいね。
本記事が参考になったら嬉しいです。
ご精読ありがとうございましたっ。
ではでは~!!